相続で引き継ぐアパートは、ほとんどの場合、築古アパートです。アパート経営の良い時期は、最初
の10年、長くても20年といったところです。アパートは築年数が古くなると、空室が増え、賃料も
下がり、修繕費も多く発生します。
近年は、平均寿命が長くなり、相続自体も高齢化しています。90歳の親がなくなり60歳の息子がア
パートを相続するようなケースも珍しくありません。相続が高齢化すると、引き継ぐアパートも老朽
化しています。
アパート経営の素人が、築古のアパートを相続するのは考え物です。
近年は、相続税法の改正により、新築アパートも増え、30年前の状況に比べると、明らかにアパート
の経営環境は厳しくなっています。しかし、アパートがあまりにも供給過剰になっていることから
2016年12月には金融庁と日銀がアパートローンの監視強化まで乗り出した次第です。さらに、建築
費も高騰していることから、たとえ新築であったとしても、新築アパートの大家さんは、相当のリス
クを抱えてアパート経営を行っています。
アパートが供給過剰であることに加え、相続するアパートが老朽化していることから現在行っている
アパート経営の手法では立ち行かなくなるのが実態です。
つまり、現在よりも先のアパート経営の環境がガラッと変わっていくことを、強く意識する必要があ
ります。
築古アパートを相続すると現在よりもアパートの減価償却費が減っている、もしくは無くなっている
ことがあり節税効果が減少し、税金を多く支払わなければならない状態になります。つまり、税引き
後の利益が現在よりも減少しています。さらに、借入金の返済がある場合は、税引き後の利益から返
済を行うため、返済を含めた現金の収入と支出は、現在よりも厳しくなっていることが通常です。
空室が多い場合、借入金の返済を考慮した現金の収入と支出が赤字になっていることもあります。
赤字になっているアパートは、保有期間が長くなるほど苦しく、難しくなるのが実態です。
このように、現在よりも難しくなる築古のアパート経営を家族に背負わせてしまう事もあるのです。
誰しも大切な家族に『 負動産 』を残したくはないのです。
では、今からどうすればいいのか?